特集: AI人工知能が変える未来
【株式会社AIWIL システム開発事業部】
第1回 AI人工知能の姿
人工知能が変える世界
AI-人工知能と言えば、あなたはどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか?
IBMのワトソンやGoogleのAlphaGo(アルファ碁)、またはAmazonのAlexaでしょうか。それともソフトバンクのペッパー君のような語りかけるロボットでしょうか?もしあなたがITエンジニアなら、まだ自分には無関係な世界のことだと思うでしょうか。
もし、あなたが。。。
人工知能は今や身近な話題、切実な課題として取り上げられるようになっています。そしてAIが人類に及ぼしていく影響から、私たちは誰ひとりとして逃れることはできないでしょう。
私たちに出来ること
文明の発展に伴い進化していく人工知能によって人類の文明そのものが終焉を迎えるのか?それとも人類にとって、豊かな未来をもたらすことになるのか。
私たちの期待や不安をよそに、世界では今、様々な取り組みが行われています。今後この変化はますます加速していきます。戻ることは、もう決してないでしょう。
あなたがエンジニアでも、コンサルタントでも、たとえ経営者であってもこの流れと無関係ではいられません。私たちの唯一の選択肢は、人類の進化の可能性を信じ、エキサイティングで可能性に満ちた世界への扉を開けて前向きに進んでいくことだけなのです。
特集記事のテーマ
特集記事「AI人工知能が変える未来 ITエンジニアに今すぐできること」では、3つのテーマを展開します。
人工知能に関する技術と議論、AIWILの考える人工知能の定義
今すぐITエンジニアに出来ること、これから必要となる知識
人工知能開発の先にあるもの、そして人類に及ぼす影響
現在、人工知能に関する様々な議論がされています。研究されている技術や既に実現している技術についても誤解を恐れずに、分かり易く紹介していきたいと思います。またAIWILが考える人工知能の定義や方向性についても提示していきます。
次に、今すぐエンジニアに出来ること、必要となる知識を紹介し、これから取り組んでいくべき方向性を考えます。
最後に、人工知能開発が及ぼす影響、不安と期待に関する様々な議論について考えていきます。
人工知能とは何か
様々な考え方
人工知能を一言で表わすとすれば「人間同様の知能」を「人工的に実現したもの」と言われます。意外かもしれませんが、実は一見簡単で当たり前のように思えるこの定義でさえも、まだ世界的には統一されていません。なぜでしょうか?
たとえば「知能」について考えてみます。知能とは何か、知能をどう定義するのかについても様々な見解があります。
人間同様の何かであれば、それだけで知能と言えるのか。人間の知能とは、そもそも何を指しているのか。。。
あなたが人工知能に興味を持っているとしたら、既にいくつかの答を用意されているのかもしれません。
人工知能の姿についても、個別の技術ひとつひとつを人工知能と呼ぶことがあります。知能の定義や目標をどう設定するかによって、人工知能の「単位」も変わってくるからでしょう。
現在の世界では、人工知能の完成形態を目指して、個々の機能を研究し実用化している段階なのです。
システムエンジニアとしては、このことをよく理解しておく必要があります。
人工知能を分類する
もちろん観点を変えることで、それぞれの主張には納得できる理由もあるようです。このことがAI人工知能を分かりにくくしています。更にはこの状況に便乗して、おもちゃのようなロボットや昔からあるプログラムを人工知能と称してビジネスに結びつけようとしている企業やマスコミもいます。
過渡期にありがちな混沌とした状態は、実現している機能への誤ったイメージや、まだ実現していないことへの不安や期待を抱かせる原因になっているとも考えられます。
特集記事では「強いAIと弱いAI」、「人工知能と人工無能」、「機械学習や推論」といった考え方などを取り上げながら、なるべく分かり易いトピックスを紹介していきます。エンジニアが今学習すべきこと、今後必要となる知識の土台としても、これらの領域は広くとらえておくべきと考えます。
そしてあらかじめ結論を言えば、”AIWILの考える人工知能”-それはまだ実現していません。なぜか。
そのことについても、この連載記事の中で明らかにしていきます。その中には、今まさにITエンジニアやコンサルタントにとっても現実の課題となってきている数多くのキーワードがあるのです。
人工知能の姿
人工知能のイメージ
定義が統一されていない中で反論を恐れず言いきるならば、人々が自然と思い浮かべるであろう人工知能のイメージこそ納得しやすい完成形態でしょう。
教育を受け入れて、経験や情報を記憶し、マネをする。
抽象的そして論理的に考えて、いくつかの可能性から結論を選択する。
当初の目的と結果を比較して、自分の思考過程を修正していく。
人の感情に対して一定の理解を示し、応えることが出来る。
現代の”人工知能のようなもの”
さて、すぐ身近にある一般的な話に戻せば、人工知能は「学習・推論・判断」といった、“人間の知能のような”機能を備えたコンピュータと言われることもあります。
また限定された個別の機能-「言語を理解する能力」、「専門知識を蓄積して意思決定を支援していくエキスパートシステム」-なども人工知能として紹介されることがあります。
また広くは、現在の人工知能の中に、「IoT(アイ・オー・ティー)」や「チャットボット」を数えることもあります。
「IoT」は、マシンに搭載された多数のセンサーで集めたデータを人工知能研究で生まれた成果を活用して処理する技術ですが、現実的な効果を発揮するためには、収集するデータの有効性やマネジメントなどが重要となると言われています。結局は、大量の有効データをいかに集められるかといったデータ処理の世界に重点が置かれるでしょう。
つまり、大きな資本や基盤を持つ大企業が優位に立つ分野となりそうです。もし中小企業が対抗できるとしたら、パブリックネットワークを活用したクラウドなどの利用で連携し、差別化を図った取り組みが必要となっていくのかもしれません。
データ処理技術に興味を持つエンジニアであれば、この分野も活躍が望めそうなカテゴリーになり得ます。
コミュニケーションする機械
「チャットボット」とは、会話パターンのためにあらかじめ準備したデータを使用して“あたかも理解してコミュニケーションしているかのように振舞う”既存のプログラムの応用です。エンジニアなら、既に誰にでもシステム開発への参画が可能なレベルの技術です。自宅のノートPCを使用して、アフターファイブの趣味として、充分に試作品を作ることができるでしょう。
パソコンやスマホを通して問いかければ、向こうに人のような知性と感情を持ったものがいるかのようなパターンを示して、答えてくれる固定的なプログラムを作成するだけです。
そのため、まとはずれな回答が混じっていたり、別の問いかけにも同じ回答が繰り返されたりすることがあります。しかし、そのことでかえって”ホっ”と安心させられることもあるのですが、それが微妙な人間の感情というものでしょうか。。
また、可愛らしい姿をした「コミュニケーションロボット」と言われるおもちゃが、お年寄りなどの話し相手として活用されている場面などを見ると、その有益性は大いに認めざるを得ません。
人工知能開発のための研究過程で生みだれてきた個別技術が、人々の豊かさや利便性のために進んで活用されていくことは、人類の元来の目的に叶うものであり、すばらしい取り組みであると言えるでしょう。
人間は、もともと機械でも自然でも同じように愛することが出来る豊かでおおらかな、やわらかい感受性を持っています。
そして願わくば、これから我々が出会うことになるであろう「未来の機械たち」にも、このように異なる種を受け入れることが出来る「人間のような豊かな感受性」を持っていてもらいたいと思います。
知能とは何か
幅広い議論
このようにブームの時代には、マスコミによる喧伝、研究機関の立場や企業によるプロモーションといった様々な情報の氾濫によってイメージが混乱し「必要以上の期待と誤解」が容易に起こるものです。
しかしそれらの混乱を除外しても、その定義はいまだ様々に異なります。
理由のひとつに「人工知能とは何か」を定義する前に「知能とは何か」という定義が定まっていないことがあげられるのです。
特集記事の中でも触れていくように、感情とは何か、知能に感情は含まれるのかという観点についても真剣な考察を重ねていく必要があります。知能と感情に関する興味深い考え方については、第2回の記事で解説していく予定です。
感情の領域は、時代の先端を歩いていたいエンジニアにとっては、エキサイティングな分野としてやりがいのある研究領域となっていくでしょう。そしてAIWILは、全てのエンジニアが今すぐにでも自らの仮説を自由に提示し、原始的なプログラムによるシミュレーションを誰でも試作することが出来る、夢のある世界であると信じています。
AIWILでも、これらの領域をテーマとした研究会を立ち上げて、自由に意見を交換する場として全てのエンジニアに提供していきたいと考えています。
現在の研究の成果
現在の人工知能研究のほとんどは、完成されたシステムを対象としたものではなく、「人工知能」の最終的な姿を実現するための”部分的な可能性”を対象としているようです。
また「知能」の原理が人間と同じかどうかについてはあまり問われていないようですが、それについてはAIWILも異論はありません。機械の知能のあり方が、人間と同じである必要性はないと考えています。
「知能の定義」についての興味深い考え方は次回以降にご紹介していく予定ですが、今回は最後に、簡単ないくつかの機能に触れて人工知能の全体像や部分機能というものを考えるための基礎にしたいと思います。
AI研究の基礎と応用
人工知能研究の基礎分野として、以下にあげられるようなものがあります。
機械学習
ディープラーニング
韓国のプロ棋士を破ったGoogleの「アルファ碁」(AlphaGo)で「機械学習」や「ディープラーニング」という言葉が着目されたことは記憶に新しいことでしょう。
また応用分野として、以下にあげられるようなものがあります。
画像認識
音声認識
自然言語処理
Iphoneのsiriや、犯罪防止に役立つセキュリティシステムなどが思い浮かぶでしょうか。
実現方式の研究でも、様々なアプローチがあります。
確率や統計などの理論
言語や画像といったデータ処理
推論を行うルールの研究
これらは1980年代に、当時の通産省主導で第5世代コンピュータが注目された頃、既に主要技術として知られていました。
特定の機能を知能と言えるか
このように、現在実現されていることは「特定の分野」において処理を行うための個々の技術です。知能というより、重要だけれども、部分的な個々の機能であるとAIWILは考えます。
しかしまさしく今、これらの技術がITに関わる全てのエンジニアに求められていく重要な領域にならざるを得ないでしょう。
さて、今回は人工知能について既に実現していること、そして未来の姿について考えてきました。現在のAIに対するイメージと、エンジニアにとっての可能性について、どのように感じられたでしょうか?
次回の第2回「知能とは何か」では、「AIWILが考える人工知能の姿」そして「知能とは何か」という非常に興味深いテーマについてお話ししたいと思います。
【株式会社AIWIL システム開発事業部】